仮説とは何か。仮説思考のメリットとは。
「仮説」の正体、そして仮説思考をするメリットについては、『仮説思考』読書ノート(前編)をお読みいただければ嬉しいです。

仮説思考はどのように使うのか(第2章)
著者によると、仮説思考を使う場面は大きく分けて、問題を①発見する、②解決する、の2つの場面である(p.58)。
では、実際にどのように仮説を立てていくのか、詳細を見ていこう。
仮説の立て方(1番気になる!)(第3章)
著者の所属するBCG内でのアンケート調査によると、「仮説を思いつく瞬間は人それぞれ」(p.102)らしい。しかし、概してディスカッションやインタビューなど「人との繋がり」の中で生まれやすい傾向にあるようだ。
分析結果から立てる(p.106)
既に分析されているデータや結果を参照し、仮説を立てる。
〈こちらのグラフ、2009年になると温室効果ガス排出量がガクンと下がっている。このグラフから、温室効果ガスの減少要因について考えられる「仮説」を考えてみよう。〉
⇒私の仮説:2008年リーマンショックに端を発した不況によりエネルギー需要が減り、発電起源のCO2が減った。
インタビューから立てる(p.112)
問題を抱えている当人(クライアント)や、自分の上司・教授・友達から聞いた話を基に、自分の知識と経験を照らして、仮説を立てる。
※その際、漫然とインタビューしない!必ず目的を意識しましょう。
⇒必ずきちんと掘りさげる。「なぜ…なの?」は必ず返すべし。相手の言うこと鵜呑みでは得られるものは少ない(し、偏見が混じっているかも)。相手の発言に質問を返し、より深く発言の意図・背景を理解しようとすること。(仮説の検証を念頭に置けばこの問は自然と出てくるはずだが)
「ひらめく」ためには?(p.126)
自分の見方に閉じこもってしまっていては「ひらめく」ことは難しい。研究でも1人で長いこと論文と向き合っていると、何が正しくて何を書きたくて、しまいにはなんでこの論文を書いているのかもわからなくなってくる。こういった状況を打破するため、著者は「強制的なひらめき」生む3つの方法を紹介している。
- 反対側から見る(コペルニクス的転回)
└売り手⇔買い手、中央⇔現場、自社⇔他社 - 考えと反対方向にした時のことを想像してみる
└「値上げした方がいいかな?」と思ったら、敢えて「値下げしたらどうなるか」考えてみる - ゼロベースで自由に発想してみる
└現状に囚われないで考えてみる
おわりに
仮説思考、あなたはどう感じただろうか。この『仮説思考』という本はビジネスパーソン向けに書かれた本であることは間違いないのだが、卒論研究前の大学生にもおすすめしたい本である。
本文中では、著者が関わった実際のコンサルティング中の事例が多く紹介されており、非常にわかりやすく仮説思考の有用性が示されている。この読書ノートでは当然全てを紹介しきれていないので、実際に手に取ってみてほしい。
網羅思考にも良さはある
最後に、個人的な意見を1つ。それは「網羅思考にも良さはある」ということ。例えば、網羅思考は「エキスパートになること」に向いている。もしも「将来英語を使う仕事がしたい」という目標が決まっているのであれば、仮説思考(≒逆算思考)で英語の受験勉強をしても意味はない。なぜならば、最低限の努力で目的を達成しようとする仮説(逆算)思考では、受験に出ない点は「寄り道」であり無駄であるため、できるだけ迂回しようとするためだ。そのため、エキスパートを目指すのであれば網羅思考で勉強する必要がある。
お読み下さってありがとうございました!
出典
- 内田和成『仮説思考』(2006.3, 東洋経済新報社)
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