気候変動”適応策”とは何か?関連枠組みと共に解説します。

はじめに

昨今、話題に上ることの多い「気候変動問題」。その中で「緩和策」と「適応策」って言葉、聞いたことがありませんか?なんとなく分かっていないけど分かった気になっている…。そんな人のために、今回は「気候変動適応策とは何か」「日本はどんな取り組みをしているのか」について解説していきたいと思います。

「緩和策」と「適応策」

気候変動対策には、大きく分けて「緩和策」「適応策」があります。

緩和策

緩和策 (Climate Change Mitigation (またはAlleviation)) とは、「気候変動がこれ以上起きないよう、気候変動の原因である温室効果ガス (主にCO2)の排出量を削減していく取り組み」を指します。キーワードは「脱炭素」「カーボンニュートラル」「CCS (二酸化炭素貯留)」など。

体感ですが、日々我々が耳にしている「気候変動対策」の約96%がこれにあたると思われます。

適応策

こちらは少し馴染みが薄いのではないでしょうか。適応策(Climate Change Adaptation)とは、「気温の上昇に従い発生する様々な災害を回避・軽減すべく、様々な手段を講じていく(=温暖化に適応していく)取り組み」を指します。メディア等で取り上げられる気候変動対策では、適応策はあまり取り上げられることがないため、「適応策」という言葉自体を知らない人も多いようです。ちなみに、2015年合意に達したパリ協定でも、第7条にて適応策の推進が言及されています。

《適応策の具体例》
気温が高くなると…?
☞ 蚊の発生頻度が高まる!
→蚊が媒介する疾病(マラリアやデング熱)の罹患者が増える
【適応策】媒介蚊の駆除方法の確立☞ 降雪量の低下!
→雪不足でスキー場は経営シーズンの縮小を余儀なくされる
【適応策】スキー場経営に依存せず、他のビジネスモデルを探る

「なぜ適応策を講じるのか?緩和策だけで充分ではないか?」と思われるかもしれません。
現在、脱炭素社会実現を目指し各アクターは努力をしていますが、それでもある程度の気温上昇は避けられません。その際、何の対策も講じていなければ、経済・社会・文化的な損失が生まれてしまうため、これらを軽減するためには適応策が必要なのです。

関連するSDGs

こちらは「民間企業と適応策の関連」に限定はされますが、SDGs内に適応策が言及されている例です。レジリエントという言葉が多く使われているように、何か変化が起こってもそれに耐える力…風でしなっても折れない枝のような強靭性を備えることが適応策の要です。

出典:民間企業の気候変動適応ガイド -気候リスクに備え、勝ち残るために- (2019.3 環境省)

仙台防災枠組2015-2030

また、気温上昇に伴い激甚化する災害という観点からは、「仙台防災枠組2015-2030」との関連もあります。この枠組みは第3回国連防災世界会議にて採択されたもので、自然災害による死者数・被災者数・直接的経済損失・インフラ損害などの減少目標を地球規模で設定した初の取り組みです。

「仙台」と聞くと真っ先に東日本大震災→地震・津波被害、と連想するかもしれませんが、実は震災だけではありません。2018年の西日本豪雨による建物倒壊、断水、停電…これらも当然、この枠組み内に入ってきます。強力化した自然災害は温暖化の影響であることが指摘されているため、自然災害の減災もまた、気候変動適応策のうちの1つです。

Q. なぜ温暖化=自然災害の強力化?
A. 「気温が上がる→大気中の水蒸気量が増える→大雨が降りやすくなる」という流れがあるためです。
台風も、水蒸気が凝結するエネルギーを種に発達するので、水蒸気が多くなるほど強くなりやすいです。また、海水温が上昇することで台風の弱体化がしにくくなっているということも挙げられます。

おわりに

今回は「適応策とは何か」という点を概観しました。次回の記事では、実際に日本はどういった法的整備を行い、適応策に取り組んでいるのかについて解説したいと思います。

 

 

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